広大地評価の重要裁決事例集 相続税の更正の請求&期限内申告の必携書

広大地評価は、土地所有資産家、相続税申告にたずさわる税理士にとって、また税務署資産税課にとっても、やっかいな曲者。通達解釈の仕方、土地の見方、土地所在地域の将来予測の立て方、国市各種法規制のとらえかた等々、いろんな要素が複雑にからみ、その適用可否が決まります。よって納税者と税務署とのトラブルが絶えず、税理士である私も四苦八苦、そんなとき昨年夏「地積規模の大きな宅地の評価」という改正通達がでて今後の悩みはかなり軽減されました。ところで本書、約１００件の実際のトラブル事例を、納税者・税務当局双方の主張、その問題の論点、そして審判所の結論、をすべて図解入りで、簡潔に、見開きページでうまくまとめられ、各事例には著者の不動産鑑定士としての知見から、ここが不可となったポイントである、こうすれば可となりえたといった値千金のコメントが書かれており、まさに土地評価にたずさわる者の評価バイブルといえます。惜しむらくはもう１０年早く、いや税務判断熟成過程の５年ほど前に、本書は発刊してほしかったと思います。それでも平成２９年の相続、過去５年の相続税申告の見直しに使えますし、土地評価に関する都計法・建築基準法等の各種法規制の理解にも今後も役に立つものと思われます。ボリュームはありますが、自分のかかえている事例に似た事例が何件か見つかりますので、そこだけでもじっくり読めば適用可否が概ね判定できますし、解決のヒントは必ず見つかります。著者の土地評価に対する情熱に敬意を表します。