美の有段詰碁100〈上〉 (詰碁で棋力UPシリーズ―感動を呼ぶ漢傑の世界)

問題の難易度を★の数で表し、★一つ、一つ半、二つ、三つとだんだん上げてゆき、ラスト10問は★4つと5つの難易度の高い出題になっています。各問題にはヒントも付いて、さらに解きやすくなっています。台湾出身の林漢傑プロは江戸時代の古典詰め碁をよく勉強されているので、相当な難問の出題もあるかとちょっと期待しましたが、ターゲットを入門者に絞り難易度をそろえた出題をしてきました。ウッテ返しや追い落としの手筋などで必ず解ける問題ばかりですので、頭の体操に向いています。どこかで見たような問題ともいえますが。チャレンジ問題も含め猛烈に難解な出題はありません。しかし寄せの勉強になるかといえば、けっこう疑問ですね。寄せの強い人は詰め碁も得意でしょうけど、詰め碁が得意な人が寄せが強いかといえば微妙です。一般的な詰め碁の出題は、もし実戦なら「どうして1手で死ぬ所まで白が放置していたの？」という状況ですし、かと言って実戦ではありそうにないばらけた白石の並びを見ると「では、白はどう手を入れておけばよかったのか？白の正しい寄せの手順は？」と問い直すことも出来ません。あくまで創作パズルに過ぎません。実戦と違って「必ず死にます」し。実戦では、まともな打ち手なら必ず手を入れて簡単には死なないようにしていますから、たったの1手で大石が殺せる状況と言うのが普通には想定できません。むしろ「白が手を入れて死なないようにしてください」という「逆詰め碁」集でもどなたか出題していただきたいものです。（プロの皆さんは、意外と頭が硬いのでしょうか）実戦にあった寄せの1局面を集めた詰め碁集というより寄せの問題集があったら、是非お目にかかりたいものです。棋譜を並べて自分で局面を探すよりなさそうですけど。