李白詩選 (岩波文庫)

時々手にとって開いてみますが、やっぱり李白はいいですね。杜甫の詩には華北乾燥地帯の沙漠のような厳しさを感じますが、李白は長江流域の水と緑の豊かさに満ちています。もちろん月と酒を詠んだ詩もたくさんあります。わたしはもう今ではほとんど酒は飲みませんが、李白を読むと無性に酒が飲みたくなってしまうから、困ったもんです。ちょっと一杯のつもりが「一盃一盃復た一盃」となってしまいそう。収録120首。「晁卿衡を哭す」が収録されていたのはめっけもんでした。芭蕉「おくのほそ道」序文のもととなった「春夜従弟の桃花園に宴するの序」もきちんと収められていました。大学の教養科目で取り上げられる程度の詩は網羅されているのではないでしょうか。全詩について原文、書き下し文、日本語訳、語釈、韻字付き。ほとんどすべての語について語釈がついているので、まったくストレスなく読むことができます。